占う人たち:
牟礼菊乃

 

About Fortunetelling

 

✓ 占いをはじめたきっかけは?

17歳のとき、とりあえず魔術を体験してみたくてルーンストーンを作ってみたのが始まりです。シンプルなデザインと解釈が初心者にはうってつけで、日々おみくじをしたり、引いたルーンをベースにシジルを書いたりしていました。数ヶ月後、西洋占星術に興味を持ちます。データ的に写し出される星図から様々な物語を読み取れることが面白くのめり込みました。

ちなみにその当時はなぜかタロットやルーンは自分の柄に合わないと感じていて、占星術とか数秘術とか、結果がデータのように表れるタイプのものを好む傾向にあったようです。

でもだんだん占星術の世界観が解っていくうちに『この星を活かすためには?』というワークをやってみたくなって。そのワークの補助として何か別の占いをくっつけたくて手を出したのがタロットでした。これがたしか2017年の夏過ぎくらいのことです。

とにかく絵柄が素敵だったこと、バンギさんやEcstasy Tarotbladeのお二人など周りの人がよく使っていたことから、デッキはトートタロットを選びました。現在もトートタロットをメインに実践しています。

 

✓ 占いのスタイルは?

通常セッションもSYNCHROOMも占術はトートタロットです。超自然的なイメージから占い=未来予知のように捉える方も多いかもしれませんが、本来は 現状を客観的に洞察する瞑想のようなものだと考えています。

そのため、ただ結果をお伝えするだけでなく「ではどうするか」にもフォーカスし、行動やその意志を引き起こすまでをゴールとしています。また引いたカードをお見せしながらご相談者様と一緒に読み解いていくことも特徴です。恋愛やご家族関係の占いで相性などを見る場合は西洋占星術を用いることもあります。

ホロスコープチャートでその人の基盤を知ってからカードを読むと、より具体的なアプローチをご提案することが可能です。今は西洋占星術は公式メニューにありませんが、需要があれば今後オプションに追加するかもしれません。セッション形式は Skypeによるオンラインセッションと、喫茶店などで直接お会いする対面セッションを中心としています。SYNCHROOMの場合はティーンズ料金があり、19歳までは¥700/15minでお申込みいただけます。

またパーティーやイベントへの出張も承っております。こちらは基本的に投げ銭制で、現金に限らずワンドリンクやおやつなどでも大歓迎です!(笑) どのセッションでも、最後にはご相談者様が少しでも元気にになれるよう勤めます。

 

 

✓ 占いを行うときに気をつけていることは?

言葉です。単語のチョイスはもちろん、最近はとくに結果をお伝えするときの起承転結に気を付けています。これが思う以上に話の印象を左右するようです。ケースによって違うので例えを出すのが難しいのですが、お話を伺いながらご相談内容のどこにフォーカスしたいのかを把握して、そこに焦点を合わせやすいように流れを組んでいます。

そもそも、占いに限らずコミュニケーションは常にリスクを孕んでいます。どんな方法にせよ、どれだけ発信者が分かりやすく話そうと受け手が100%正確に理解できているかは分からないという厳しい現実があり、我々はそのなかで日々のやり取りをしているのです。占いの際もそれ以外でも、事の一つ一つ、一言一言を丁寧に扱うよう努めています。

 

✓ 占いのGood and Badは?

Goodは「不可視を可視化できること」、Badは「敏感になりすぎてしまう危険性があること」です。占いは何らかのトラブルで身体の中にできた見えないしこり(お悩み)を超音波検査機器やMRI(タロットや星図)を通して一時的に目で見ている状態です。でもこのしこりは外科手術に踏み切って(覚悟を決めて行動を起こして)みないと実態は分かりません。

そもそもこの状態を危機的とするか危機的でないとするかも本人が決めることです。だからこそ納得がいくまで検査可能ですが、危機に敏感になりすぎると、本当は大したことのないものも過大に捉えやすくなってしまいます。放置した方が綺麗に治るものを過剰な検査や投薬によって逆に傷付けるリスクも出るわけです。

占いはあくまで「現状をどのように処理するか」を考えるツール。このポイントさえ把握しておけば、最近話題の占い依存や霊感詐欺被害も未然に防げるかと思います。

 

✓ 占い師としての人生を振り返って、想うことは?

まだ多くを振り返れるほど経験を積めていませんが、活動を始めてから今日までの約半年間で驚くほど世界が広がりました。ご相談者様との出会いはもちろん、占い師同士の出会い、イベントの参加、皆さんの前でお話ししたり、それがYouTubeにアップロードされたり、人脈も活躍の場も今までの数倍に広がっています。

出会った方々と出来事すべてに感謝してこれからも日々精進いたします。

 

 

 

✓ 菊乃さんに占ってもらうには?

TwitterのDMか、牟礼菊乃またはSYNCHROOMのホームページからメールでお問い合わせください!

 

About You

 

✓ 「SYNCHROOM」では「学校」がキーワードとなっています。なぜですか?

 

理由は二つ。一つ目は需要があったこと、もう一つは私自身の経験です。

2017年秋に DEVIL’s PLAY という占いサービスを始めました。恋愛や転職などよくあるご相談が寄せられる至って普通の占い屋さんでしたが、私が学生だからというだけで何とはなしに設けてみた「学校」という項目が、のちのメインシェアになったんです。最終的にはこれだけが独立して SYNCHROOM 開設に至るとは思ってもみませんでした。そして何より「学校」がメインシェアになるほど、学校生活に悩んでいる少年少女とその親御さんが多くいらっしゃり、占いを求めているという現実に大変驚きました。

私自身、小学1年生の頃から学校にはつくづく悩まされてきた身です。いじめ、不登校、先生とのぶつかり合い、教育制度への不満、色んな壁とぶつかってきました。学ぶこと自体は大好きで、有難いことに現在大学にも通わせてもらっていますが、大学生になってもなお、日本の学校教育には深い疑問を感じています。

多感で繊細な思春期を、個性の制圧、学歴業績至上主義、コンプレックスで塗り固められた日本教育制度のなかで過ごすのはすごく大変です。近年では学校のみならず、塾や習い事に関してもよくお話を伺います。心身ともに大きく成長する思春期・青年期をこのような場所で過ごせば、心身不調、不登校、疎通困難などの状況に陥るのは容易に想像がつきます。これは繊細な子に限ったことではなく、一見タフで快活な子にも充分起き得えます。

こうした状況は当事者だけのテーマではなく、当事者を支える保護者の方やお友達、恋人、先生などにも深く関わってきます。実際に 私が不登校になったとき、一番支えになってくれたのは両親と当時の友人でした。過干渉気味の母とは何度もぶつかり合いましたが、そのぶつかり合いがより一層絆を深め、今では一番の理解者かつ応援者です。あらゆる精神的不調の状況は 視点を変えて見れば、当事者以上に支える方々がキーマンなのです。

このような私自身の経験や考えを活かして、日本の青春により深くフォーカスした占いをご提案できたらと思い、学校をキーワードにした SYNCHROOM を立ち上げました。

 

✓ モデル、舞踏などと、占い師としての活動は、菊乃さんにとってはどう結びついていますか?

プロダンサーを目指して10年続けたクラシックバレエ、その後ひょんなことから出会った舞踏、それがきっかけで始まったモデル活動、これら3つに共通することは、いずれも「身体表現」であるということです。身体表現は存在の有無や時空間差異に関わらず、自分が表現したいものを一度体内に取り込み、それを咀嚼・再構築して体外に引っ張り出すというプロセスを辿ります。媒体こそ違いますが、これはタロットや星図を読み解き、私の言葉に返してご相談者様にお伝えする占いと全く同じ行程です。

占いは読み方一つ・伝え方一つで大きく話が変わってきます。先程「占いで気をつけていること」でもお話ししましたが、どれだけ発信者が分かりやすく話そうと受け手が100%正確に理解できているかは分からないというリスクを常に意識できるようになったのも、身体表現の厳しくも深い経験があったからこそだと考えています。

 

 

✓ 菊乃さんは占いと同時に現代魔術 Contemporary Magickというキーワードも提示しています。菊乃さんにとって現代魔術とはどういうものですか?

人生経験も魔術経験もまだまだ浅いですが、そんな現時点の私にとって、現代魔術とは「この宇宙でいかに踊るか」を哲学する「道(tao)」のようなものです。宗教や信仰といったニュアンスよりも、○○道、人生哲学の源。私個人としてはそんなふうに捉えています。

“わたし” という孤独な存在が、凡ゆるものが有ったり無かったりする宇宙にポンと放り出されている。そのなかでいかに立ち、語り、踊るのか? この永遠に続く問いかけに対して、意志表明をする方法や心構えを学ぶ道、といったイメージです。それが年間8回のサバトだったり瞑想だったり占いだったり、ときには舞踏やモデルだったりするわけで、たとえその行為が魔術的でなくても「今ここ」の宇宙を確かに生きるための意志表明であるならば、それは立派な魔術だと思っています。

また英語表記において、現代魔術の「現代」を Contemporary としているのは、場合によっては時間軸の幅に差が出てしまう Modern とは違い「今ここ」「今まさにこの時代の」という意味合いが強いからです。現代魔術というか、今ここの魔術。そういったニュアンスを含めるたくこの英訳を採用しました。

 

✓ 占いや魔術といった「前近代的」な文化が、21世紀にも活況である理由は何だと思いますか? また、メディアテクノロジーの発展は、占い、魔術、セラピーといった領域にどう関わってくると思いますか?

メディアテクノロジーの発達が、図らずも魔術と人々の距離を近くしたからではないでしょうか。

もう既によく言われていることですが「科学」と「魔術」は一見対極のように見えても、目的到達への方法論が違うだけで本質は一緒だと考えています。どういうアプローチを辿るにせよ、どちらも「より良くなるため」のものであることには変わりないからです。実際メディアテクノロジーが人間に与える作用は「もとある能力を超越する」という点で魔術と非常に似ています。

以前ゴッドスコーピオンさんとバンギさんが製作したVRの魔術儀式プログラムを見せていただいた際にそれを体感しました。普通なら、何十分間も深い瞑想状態を保つのはとても難しいのですが、VRはゴーグルとヘッドホンをかぶって座るだけですぐ瞑想状態に入れて、こちらの集中力に関わらずずっと鮮明なヴィジュアルとサウンドをもたらし続けてくれるわけです。経験もないですし推奨もしませんが、これって多分1960~70年代に流行ったLSDトリップなども同じような状態だったのではないかと思います。

 

 

現代人はこういう現象を、SNSやメッセージアプリ、ゲーム、アニメなどを通して無意識にいっぱい体験しています。別にガチガチのオカルトに限らずとも、今後VRを含めたメディアテクノロジーが発達すればするほど誰でも簡単にハイクオリティーな瞑想・魔術体験を得られるようになるでしょう。

ではなぜ、こういった現代社会のなかでわざわざヨガや舞踏などのアナログな修行を行うのか。それは、この世界を生きている私自身を支えるものが「身体」に他ならないからです。AIやbotの登場によって、たとえその人が肉体的に死んでも、精神性や言葉だけは永遠に生き続けるということがあり得る時代になりましたが、それでもやはり「身体の生死」は人間の存在を問うにあたって非常に重要な役割を持ちます。

また、どう転んでも言葉を語るのは身体です。身体がなければ言葉は語れないし、言葉を語れなければ他者と精神性を共有することもできません。AIが喋れるようになったのも、AIが自ら新しい言語を見つけたり、言語という概念を発見したからではなく、最初に人間が指を使ってカタカタとデータを打ち込んだから起こり得たことです。

今後もっとメディアテクノロジーが発達すれば、身体と言語の繋がりは一層解離していくことでしょう。そうなると、言葉と身体を繋ぐ「精神」に携わる魔術やセラピー、カウンセリング、ひいては宗教などの立ち位置も必ず大幅に変わります。しかし、人間として生を受け、言葉を語り、何かしらの精神性を持って生きていく限りは、その母体となる身体を常にアップデートし続けなければなりません。

経験の程度に関わらず、実践魔術の世界に飛び込むと必ずこの問題にぶち当たります。この世から実践魔術家が絶滅しない限りは、人間が身体性を完全に忘れることはないと思います。

 

About Traveling

 

✓ 今住んでいる街とその印象を教えてください。

10歳から鎌倉に住んでいます。寺社仏閣や明治大正期の屋敷などが遠い時代の結晶を残しつつも、現代的なセンスと見事に融合する美しい街です。三方に山、一方には海が広がり、すぐに自然と触れ合うことができます。

地元民のなかには「鎌倉に来ると住みたくなる、住むと鎌倉で働きたくなる」という謎の魔法にかけられた移住族も多いです。私の家族もその一例。生活圏のほとんどが鎌倉という限定された地域のなかにあっても全然息苦しくならないのは、やはり長年培われてきた鎌倉コミュニティの品格や風土の強さがあるからだと思います。治安が良く、歴史が深く、自然豊かなこの街が大好きです。

 

✓ 今まで住んだ街、訪れた街などで、特に印象に残っているのは?

6歳のときに見たベルサイユ宮殿内の田園風景や、高校3年生のときに研修旅行で行ったオーストリアの湖水地方、ドイツのノイシュヴァンシュタイン城付近が印象的です。自然と生活の距離が近くてすごく牧歌的に見えるけど実は異世界、あるいは異世界と繋がっている、みたいな場所が好きです。

例えばベルサイユ宮殿内の田園風景はもとからあったわけではなくて、マリーアントワネットが田舎遊びに憧れてわざわざ作らせたもの。ノイシュヴァンシュタイン城内に描かれる生き生きとした草木と、実際に窓から見える薄暗い冬の山々。どうやら私はこのような、ズレというか、風景の中にあるギャップのようなものが好きなようです。

 

✓ 旅の必需品は?

旅先で集めたリーフレットや地図、美術館のチケットなどを溜め込む「思い出ファイル」です。昔はよく化粧品店の香水を吹き付ける紙を集めていました。カフェのコースター、切手、便箋、貨幣なんかも入れていきます。このように大きさも厚みもバラバラでは、ファイルの口が広がってどんどんこぼれてしまいますから、タコ糸で止められる封付きのものだと便利です。帰ったら中身を整理してスクラップ。ささやかですがこれが一番の旅の醍醐味かもしれません。

でもそれ以上に忘れてはならないのはお肌のケア用品です。思い出ファイルは忘れても現地調達すればいいのですが、日用品はなるべく慣れたものを使いたいので必ず日本から持ち込みます。ヨーロッパなどは比較的乾燥していて、日焼けもしやすいように感じるので、どの鞄にも化粧水と日焼け止めを必携。化粧水はさらさらしたお水のようなタイプを選び、小さなスプレーボトルに入れて忍ばせておくと便利ですよ。

 

✓ 次は、どんな旅がしたいですか?

どんな旅でもいい!とにかく旅がしたい!(笑)

場所としては、まずは日本を旅したいと思っていて、直近で今年の夏、大阪、和歌山、岡山あたりに行く計画をしています。海外で今一番行ってみたい国はオランダ。中学時代から大好きなガバ(ハードコアテクノのジャンル)の聖地なので、絶対に一度は行きたいです。

 

牟礼菊乃(むれ きくの)
Twitter / Web
SYNCHROOM

1996年生。6歳からクラシックバレエを始め、プロダンサーを目指していたが15歳で体調を崩し退く。学校も行かず社会から隔絶していた当時、様々な身体感覚や精神的変容に遭遇。翌年都内の某付属大学単位制高校に転学し、その後は大学に進学。

18歳から日本の現代魔術シーンに出現。ルーン、トートタロット、西洋占星術など占術を中心に基礎を学ぶ。

バレエ、舞踏、ボディピアッシング、ファッション、ヨーガなどの実践、アンダーグラウンド/カウンターカルチャーとの遭遇を通して魔術を探求している。

武邑塾 第2・3シリーズ皆勤賞受賞
現象学 / 
言語 / 芸術 / 現代魔術 / 宗教学 / 哲学 /身体改造 / ポストヒューマニズム