CBDバビデ部の中間報告
#2 水に溶かすタイプの緊張



 不定期連載「CBDバビデ部の中間報告」は、CBDバビデ部発起人のジョーキさんが実際に試したカンナビノイドアイテムを気ままにレビューするコラムです。


CBDバビデ部とは?
 BARDSセルフケアプログラムの一企画。
 CBDMANiAの澄子@sumikokawai、ジョーキ@kagikko 、円香@kamadooma 、CBDバビデ部による情報交換&チル会。アスリートも支持する注目の植物由来成分CBDってそもそもなに? 医療大麻って本当に合法で安全? オイル、ワックス、グミ……どれがいいの?
 CBD持ってない人も、これから買いたい人も、何買ったらいいかわからない人も、既にかなり掘ってる方も最新情報をチェック!
 ……することができた。2020年7月に終了。


 第2回では水溶性CBDをご紹介。
 いつでもどこでも何にでも、これを溶かせばCHILL……
 「リラックスこそが非日常」と語るジョーキさん、水溶性CBDでCHILL OUT達成なるか?






 「リラックスして本来の自分を取り戻す」というような話をよく聞く。しかし、それはリラックスした状態がデフォルトであるという前提の上に成り立っている。緊張状態がデフォルトの場合はどうするのだ、といつも思う。

 常に緊張している人もそこそこいるだろう。少なくとも、私の周りにはいっぱいいる。そんな人たちにとってはリラックスこそが非日常であり、だからこそリラックスへの渇きが切実なのだ。可能なことなら、隙さえあればリラックスしたい。いつのまにか緊張してコチコチになってしまう体と心がいやになる。息が浅い、汗が出る、手足が冷たい! たまには逃避して息抜きするのも必要だ……そう言って非日常を求めて旅に出てみたはいいが、夜になるといつもと違う空間に緊張してうまく眠れなかったりする。これは引っかかってしまいがちな罠だ。結局おなじみの緊張状態、思いきり引いた弓のように張りつめた本来の自分に戻っている。結局いつも、巨大な「緊張」の手の平の上で転がされているだけな気がする。


見事な香箱座りでリラックスするジョーキさんちの猫・猫1さん。

 ふと西遊記のことを思い出す。筋斗雲で世界の果てまで飛んで行ってドヤ顔をする孫悟空も、実際にはお釈迦様の巨大な手の平からは逃れられていなかった。頭にはめられた金の輪っかも、三蔵法師とかいう坊主のさじ加減次第で締めつけてくる。ああ、わかる! わかるよ孫悟空。私もいつだって、逃れようとした先にあいつが先回りしていて困っているんだ。主導権を持っているのは向こうで、自分にはどうにもできない力に翻弄されて迷惑しているんだよ。だから私も天竺へ連れて行ってくれないか……私はいつのまにか孫悟空と一体化し、ぎりぎり締めつける輪っかに頭蓋を割られ、砕けた脳みそが世界の果てまで弧を描いて飛び散る……。
 ここで夢から覚めた。声にならない叫びを上げながら跳ね起きると、ゴンと鈍い音を立てて頭が天井にぶつかる。脳みそが飛び散っ……てはいない。落ち着け、落ち着けないだろうけど。ここはサウナ施設のカプセルの中だ。体は汗でジットリ、それなのに口の中は乾き切って喉の奥までカラカラ。身も心も激しく渇いているのを感じる。水が欲しい! とカプセルの棚に目をやると、サウナ上がりに買っておいたペットボトルの水があった。ありがたい。ありがとう、と寝る前の自分に手を合わせる。そして、ペットボトルの隣には『CHILL OUT』と書かれた小さな青い瓶が置いてある。そうだ、これもあったんだった!


水溶性CBD CHILL OUT
CBD加え、希少成分CBGも配合。入れすぎると味が変わるので注意。

 本来CBDは水に溶けず、そのためオイル製品が主流だったという。しかし「水溶性CBD」の登場によって状況は一変した。これを持ち歩いていれば、外出先であらゆる飲み物を即席のCBDドリンクに変身させることが可能になるのだ。しかも、オイル製品に比べて生体吸収率も向上しているらしい。つまり、より効果が期待できるということだ。

 スポイト一体型の蓋を外してペットボトルの水に数滴落とせば、たちまち乳白色の雲のようなものがもくもくと広がっていく。顔を近づけ、CBDを乳化コーティングしたというその成分の広がりを眺めているだけで不思議な気分になる。世界の果てまで広がっていく雲。その雲の上に、孫悟空になった小さな自分を思い描いてみる。頭には、今や輪っかなどはまってはいない。輪っかだろうが巨大な手の平だろうが、もう何もかも水に溶けてしまったのだ。視界がすべて乳白色に染まり、全身を支配していた緊張はすっかりどこかへ行ってしまった……ああ、これか。リラックスとはこれのことか! 緊張を忘れた状態、緊張それ自体を意識しなくていい状態のことをリラックスと呼ぶのだった。ついつい、そのことを忘れてしまう。リラックスを切実に追い求める切迫感こそ、最もリラックスから遠いところにあったのだ。来た道を振り返ってみると、そこにはもう緊張の姿はなかった。



ジョーキ
 サウナ×人を掘り下げるリトルプレス『トトノイ人』編集人、CBD井戸端会議グループ「CBDバビデ部」発起人、オープン・ダイアローグ・ネットワーク・ジャパン正会員。Twitter